命の物語を支える助産院の歩み:根岸雄子さんの挑戦
千葉県南房総市で助産院「ねむねむ」を運営する根岸雄子さんは、32年間にわたり命の誕生に寄り添ってきたベテラン助産師です。17年前に自宅出産のサポートを始めた根岸さんの経験は、特に医療の在り方に対する独自の視点に支えられています。
助産師としての歩みと自宅出産への転換
根岸さんのキャリアのスタートは約32年前。大規模な病院で年間1000人以上の出産に関わっていました。しかし、病院のルーチン化した出産に疲弊し、新たな視点で命の誕生に向き合いたいという思いから青年海外協力隊として海外での活動に挑戦。
自然な形での出産を尊重する文化に触れたことで、帰国後は助産院を開業し、家族の望む出産形態を重視するサポートに尽力することを決意しました。
助産院の開業とサポート体制の構築
助産院の開業に際しては、産科医のサポート体制の確保が大きな課題でした。内科医でも耳鼻科医でも医師であれば助産院との契約が可能だった時代から、産科医との契約が必須になったことで、多くの助産院が経営を断念。
しかし、根岸さんは周囲の医師の協力を得て開業を成功させ、現在も医療機器の準備や産科医との連携を図りながら運営を続けています。
家族と共に歩む「9ヶ月の旅」
根岸さんが大切にしているのは、妊娠から出産までの「9ヶ月の旅」を共に過ごすこと。家族との信頼関係を築き、出産という一大イベントを支える助産師として、単なる医療提供者に留まらない存在です。
インターネットの普及によってネット検索での助産院探しも増えましたが、根岸さんの助産院は口コミによる紹介が多く、地域の信頼に支えられているのです。
おわりに
自宅出産を支える助産師として、根岸さんは命の誕生を特別な「物語」として尊重しています。地域のコミュニティーとのつながりや、家族が望む自然な形の出産を実現するサポートを通じて、根岸さんは今日も多くの家族に寄り添い続けています。