素潜りは究極の精神修養。潜るほど死に近づき、死に近づくほど生が輝く




ポールダンサー、フリーダイバー、モデル、フラワーエッセンスセラピスト、レイキスト、ストレッチトレーナー。さまざまな顔を持つLuCyCoさん。自然体の美しさと、人柄がにじみ出るあたたかな文章で多くの人を魅了する彼女の原点は、意外にも“自信のなさ”だったという。

 

 

ーー色々な肩書きを持って活躍されていますが、まずはポールダンスを始めた経緯を教えてください。

 

ポールダンスを始めたのは20歳の時です。雑誌の「ポールダンスで全身痩せ」っていう記事を見て、ダイエット目的で始めました。ポールダンスがどういうものかも知らずに体験レッスンに行ったら、登り棒みたいな感じで童心にかえって、とても楽しめたんですよ。それでレッスンに通うようになったのですが、職業にしようとはまったく思っていませんでした。

ダンサーになったのは、当時、ポールダンスの聖地になっていたagehaで活躍していたプロダンサーの方のステージを見た時にインスピレーションが働いて、知り合いでもなんでもないのにコンタクトをとったことがきっかけです。今でもお世話になっている方なのですが、彼女が本当に親切にしてくださって、ショーのお仕事を紹介していただけることになりました。

人前で踊ったこともないし、見せ方もわからない私に、「あなたならできる。立ってるだけでいいから。」と言ってものすごいサポートをしてくれて、24歳でデビューしました。すごく人見知りで自信がない私が、お客様に「カッコよかった」「感動した」と褒めてもらうことで自信を持てるようになりました。けれど、26歳の時にポールダンサーを辞めようと思ったことがありました。

周りは大会を目指して技を極めることに必死になっていたけれど、自分はモチベーションをそこに持っていけなくて、だったらポールダンサーをやる意味がないのかなとか色々考えてしまったんですね。自分と向き合わなきゃと思った時に、フラワーエッセンスの勉強を本格的に始めました。

 

実は、大学卒業後、やりたいことが見つからなくて、ルーツを持つスイスで暮らしたことがありました。親戚を頼らずにシェアハウスで暮らしていたんですが、元々人見知りだし、ウェーイっていう性格でもないので(笑)、ホームシックですごく寂しくなってしまったんですよ。その時に薬局でフラワーエッセンスを見つけて、私にはすごくハマったんです。そうだ! フラワーエッセンスだ! と思って、きちんと勉強をしてケアを始めたら、ポールダンスを続けられるようになりました。

 

―ポールダンスがフラワーエッセンスのセラピストになるきっかけだったとは! フリーダイビングはどんなきっかけで始めたのですか?

 

2019年に仕事で沖縄に行ったことがきっかけです。

阿嘉島という沖縄でも透明度が高くて、世界中のダイバーが絶賛する海でシュノーケリングをした時に「こんなにきれいな場所が地球にあるんだ。地球ありがとう」っていう気持ちに生まれて初めてなったんです。

コロナで社会が変わって、私自身、東京での生活はやりきったと思えるようになっていたのもあって、すぐに移住を決めました。

 

シュノーケルをもっと楽しみたい、単純に海の中にもっと長い時間いたい、という思いが強まって、水中で息を長く続ける方法を調べていたらフリーダイビングしか出てこなかったんですよ。フリーダイビングってなに? 私、別に垂直に潜りたい訳じゃないんだけどな~、って感じだったんですが、とにかくライセンスをとりました。そこからハマってしまったんです。

 

 

 

色々なことを学べば学ぶほど、どんどん自分が自分になっていく

 

フリーダイビングを始めて、色々なことが変わりました。ポールダンスは固めることが大事なんですよ。筋肉、手先、足先まで神経を張り巡らせて、技もポーズも完璧に、立っているだけでも美しく見えるように、ってガチガチに固めるんです。

海は真逆で、力を抜いてリラックスしないと息が続かない。私って、こんなにもリラックスするのが下手だったんだと気付かされました。

最初は、きれいに、早く、深く、潜らなきゃっていう気持ちが強くて葛藤していたんですが、自然の中に身を委ねていると、そんな気張らなくてもいいじゃん、自然体でいいじゃんって思えるようになっていきました。

 

海の世界の人たちは、力の抜き方が本当に上手です。人を気にしないし、人と比べない。記録も自分との闘いなんです。私はずっと、人と比べていたなと気付かされました。他のダンサーと比べて、どっちが人気がある?どっちがチップが多い?とか。実力だけじゃなくて運やタイミングも関係することだから、比べても意味がないことだったんですけどね。誰かと比べることで自分の価値を確かめていました。ダンサーの世界はマウントのとり合いだし、他人への対抗意識とか競争意識がないと自分を保てない環境で、いつも敵と味方を分けていました。

人からの敵意に対して、強く身構えてガチンとぶつかっていたけれど、フリーダイビングを始めてからはスッと受け流せるようになりました。

 

私は、海が穏やかな時よりも荒れている時の方が深く潜れるんです。穏やかな時は深く潜れて当たり前でしょ、記録を伸ばさないと、っていうプレッシャーを自分でかけちゃうんですね。荒れてると諦めがつく。気持ちが悪いし、長く潜れる状況じゃない、と思って入ったら、海の中は意外と穏やかで、あれ?潜りやすいかも!、記録が伸びちゃった!みたいな(笑)。

怖い、とか、ダメかも、とかネガティブな感情が出てくると潜っていられなくなります。普段は2分とかいけるのに、30秒で終わっちゃうとか。

海の中では自分の心と体の状態がすぐにわかります。自分のことがよくわかるようになるので、本当に楽しい。

素潜りは自分の体ひとつで自然と向き合うので、潜れば潜るほど死に近づきます。死に近づくほど生が輝く。究極の精神修養のスポーツだなと思います。

 

 

ーー一見、流れに身をまかせているようですが、LuCyCoさん自身が自分に必要なものを引き寄せているとも言えますね。そして、そこにレイキも加わるんですよね?

 

レイキは怪しさ満点、怖いと思っていました(笑)。

占いとか好きだし、フラワーエッセンスをやっているけど、レイキは信じていませんでした。だけど、仕事やプライベートのことでものすごく悩んでいる時に、半信半疑でレイキを体験したら、その時抱えていた悩みが無くなったんです。何を悩んでたんだっけ?みたいな。すべてが過去のものになって、自分の真ん中に戻っていたのが衝撃でした。悩みを相談したわけでもなくて、ただ施術を受けただけなのに。これはすごい、となって自分を整えるためにレイキを学びました。レイキを学んで、今まで自分がやってきたことや感じてきたことの裏付けが得られたのは大きかったですね。

面白いのが、レイキを始めてから、ダンスのお客様の反応が全然違うものになったんですよ。スタイルや技よりも、私自身を見てくれている感覚というのかな。いつも、自分の内にある太陽が光を放って、その光が会場全体を満たすことをイメージしてから舞台に立つのですが、お客様から「まぶしい」「体から、まぶしい光を発していた」「まぶしくて見ることができない」という感想をいただくようになりました。わかる人にはわかるんだ、と嬉しくなりますね。

 

ーーなんでも吸収しようという柔軟な部分と、興味を持ったものを極めていくストイックな部分がLucycoさんの多面的な魅力を形成しているのですね。これからの予定や目標はありますか?

 

コロナになっていなかったらモンゴルにコントーションの修行に行く予定でした。ラスベガスでシルク・ド・ソレイユの『O』という舞台を見て、水の世界とコントーションに魅せられていたんです。思いがけず沖縄に移住して、水の世界を体験しているんだから不思議ですよね。思いは繋がるんだなと感じています。海も、ダンスも、フラワーエッセンスも、スピリチュアルも、すべてが繋がっていると思います。色々なことを学べば学ぶほど、どんどん自分が自分になっていく。生きるのが楽になります。

本当に不思議だし、感謝しているんですけど、私は自分で何かを掴みにいくというよりは、ラッキーや人とのご縁が重なって物事が決まることが多いんです。海や自然を組み合わせたリトリートをプロデュースするのが夢ですが、これからどうなるかは、宇宙におまかせです。




インタビューを終えて

海に体を浮かべて身をまかせるかのようなLuCyCoさんの生き方は、偶然や縁が重なったものですが、ある意味必然だったようにも感じます。色々なことを経験してきたからこそ紡ぎ出せる、借り物ではない魂のメッセージを多くの人に受け取ってほしいなと思います。




LuCyCo:るしこ

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